STP分析とは?マーケティングでのやり方やタイミング、他のフレームワークとの違いを解説
マーケティング戦略を練り始めると、必ずと言っていいほど登場する「STP分析」。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3ステップと聞けば、何となくイメージは湧くものの、実際にどう進めればいいのか迷う人は少なくありません。この記事では、STP分析の基本から実践的な手順、他のフレームワークとの違いや連携方法まで、具体的な事例を交えて解説します。
提唱者: フィリップ・コトラー · 構成要素数: 3(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング) · 活用フェーズ: マーケティング戦略策定の初期 · 関連フレームワーク: 3C分析、4P分析、SWOT分析
クイックスナップショット
- STP分析はセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3要素で構成される(Salesforce Japan(CRMプラットフォーム企業))
- 基本の順序はS→T→Pの流れが定石とされる(アスマーク(市場調査会社))
- STP分析の後には4P(マーケティングミックス)が続く(BowNow(マーケティングオートメーションツール))
- コトラーが最初にSTPを発表した正確な年は特定されていない
- 全ての企業にとってSTP分析が常に有効かどうかは事例ごとに異なる
- STP分析は「誰に・何を・どう売るか」を決める前提として、戦略策定の初期段階で実施される(ウィルゲート(デジタルマーケティング支援企業))
- STP分析は、3C分析やPEST分析などの環境分析を踏まえた上で使われる「戦略立案」の中核フレームワークとして、今後も幅広く活用されるとみられる(UTokyo IPC(東京大学関連ベンチャーキャピタル))
STP分析の全体像をざっくりつかんだところで、5つの主要な項目を1枚の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング) |
| 提唱者 | フィリップ・コトラー |
| 構成要素 | 3つ |
| 活用目的 | 効果的なマーケティング戦略の策定 |
| 関連フレームワーク | 3C分析、4P分析、SWOT分析 |
STP分析とは?定義と基本概念
セグメンテーションとは
- 市場を年齢・性別・所得などの人口統計、地域・都市規模などの地理、価値観・ライフスタイルなどの心理的指標で細分化する(DM Insight(データマーケティング企業))
- 切り口候補を3~5個程度洗い出し、意味のある違いが出る軸を残し、最終的に3~6個程度のセグメントに絞ることが推奨される(Ficilcom(マーケティング支援企業))
ターゲティングとは
- 細分化したセグメントから狙う市場を選定する工程。代表的な戦略類型として「集中型」「差別型」「無差別型」の3つがある(カオナビ(人事・タレントマネジメントプラットフォーム))
- ターゲット評価には6R(市場規模・成長性・競合・到達可能性・反応性・優先度/波及効果)を用いて採点し、自社の強みや経営資源との適合度を加点する方法が示されている(Ficilcom)
ポジショニングとは
- 競合の価格・機能・販売チャネルを調査し、自社の差別化ポイントと優位性を踏まえて市場内の立ち位置をマッピングする(DM Insight)
- ポジショニングマップを用いて視覚化し、競合との差異を明確にするのが一般的な手法
STP分析の順番は必ずしもS→T→Pの固定ではない。東芝テックのコラムでは、ポジショニングから逆算する方法や各ステップを行き来しながら検討する方法も有効だと指摘されている(東芝テック(POSシステム・プリンター大手))。
STP分析は「自社が誰に対してどのような価値を提供するのか」という問いに答えるためのフレームワークであり、市場の全貌を把握し、競合に対してどの立ち位置で戦うかを決めるために使われる(アスマーク)。この3ステップを一貫して実施することで、マーケティング活動の方向性が明確になる。
STP分析で何がわかる?目的とメリット
市場の理解
- 自社の強みを活かせる市場を特定できる。顧客ニーズに合った製品開発が可能になる(Salesforce Japan)
- セグメンテーションの有効性を評価する指標として「4R(Realistic・Reach・Response・Revenue)」や「5R」「6R」などのフレームワークが併用される(BowNow)
競合との差別化
- ポジショニングを明確にすることで、競合他社との違いを打ち出しやすくなる
- ウィルゲートの解説では、STP分析によって「誰に・何を・どう売るか」を決め、広告やコンテンツ施策の一貫性を高められると説明されている(ウィルゲート)
リソースの集中
- 無駄なマーケティングコストを削減し、限られた予算・人材を効果的に配分できる
- Yasabiの記事では、ターゲット選定の条件として「自社の強みが生き、ミッションに合致する領域」「市場が十分に大きく、製品・サービスを必要としている領域」を挙げている(Yasabi(経営学メディア))
STP分析はマーケティングROIの最大化に直結する。Salesforce Japanは「自社にとってもっとも価値の高い顧客層のニーズを理解し、適切なメッセージとチャネルでアプローチすること」を目的として挙げている(Salesforce Japan)。
STP分析のやり方と手順
ステップ1:市場のセグメンテーション
- まず分析の目的を明確にし、情報収集を行う。セグメンテーションでは人口統計、地理、心理、行動などの指標を用いて市場を細分化する(DM Insight)
- 絞り込みすぎず、実用的なセグメント数(3~6程度)に収めるのがコツ(Ficilcom)
ステップ2:ターゲット市場の選定
- セグメントを6Rなどで評価し、自社の強みと経営資源に合致する市場を選ぶ(Ficilcom)
- 選択肢としては「集中型」「差別型」「無差別型」の3つの戦略があり、自社の状況に合わせて選ぶ(カオナビ)
ステップ3:ポジショニングの確立
- 競合分析を踏まえ、自社が提供する独自の価値(差別化ポイント)を明確にする
- ポジショニングマップを作成し、価格×品質などの軸上で自社の立ち位置を可視化する(DM Insight)
- 最終的に、製品・価格・流通・販売促進の4P(マーケティングミックス)に落とし込む(BowNow)
3つのステップを踏むことで、漠然としていた市場の構造が整理される。ここで押さえたいのは「分析で終わらせず、施策につなげる」という視点だ。ACCEL Japanのコラムでは、STP分析の注意点として「分析だけで終わらせず施策につなげる」「他のフレームワークも併用する」という2点が挙げられている(ACCEL Japan(マーケティング支援企業))。
STP分析と他のフレームワークの違い
5つのフレームワークを目的・視点・使用タイミング・出力の4軸で比較すると、次のような違いが浮かび上がる。
| 軸 | STP分析 | 3C分析 | 4P分析 | SWOT分析 |
|---|---|---|---|---|
| 目的 | ターゲット市場の選定とポジショニングの確立 | 外部環境(顧客・競合・自社)の把握 | マーケティングミックスの具体化 | 内部・外部要因の強み・弱み・機会・脅威の整理 |
| 視点 | 顧客・競合・自社の関係性 | 市場構造の全体俯瞰 | 製品・価格・流通・販促の実行 | 自社のリソースと環境のマッチング |
| 使用タイミング | 環境分析の後、戦略策定の中核 | STP分析の前段階 | STP分析の後、施策実行段階 | 環境分析の一部として、STPの前または同時 |
| 出力 | ターゲット定義・ポジショニングマップ | 3Cの定性・定量分析結果 | 4Pごとの施策リスト | SWOTマトリックス |
この比較から見えるパターンは、STP分析が「戦略の設計図」であるのに対し、3CとSWOTは「材料集め」、4Pは「設計図を基にした建築」という役割分担だ。UTokyo IPCのコラムでも、STP分析は3C分析やPEST分析などの環境分析を踏まえた上で使われる「戦略立案」の中核フレームワークとして位置づけられている(UTokyo IPC)。
3C分析との違い
- 3C分析はCustomer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の外部環境を分析するフレームワーク。STP分析はその結果を基に、どの市場を狙うか、どう差別化するかを決める(リコー(複合機・ソリューション大手))
- 3C分析では「情報収集と整理」、STP分析では「意思決定」が主な役割となる
4P分析との違い
- 4P分析(Product, Price, Place, Promotion)は、STP分析で決めたターゲットとポジショニングを具体化するためのマーケティングミックスである(BowNow)
- STP分析が「何を・誰に・どう伝えるか」を決めるのに対し、4P分析は「具体的にどう実行するか」を決める段階
SWOT分析との順番
- SWOT分析は自社の強み・弱み、機会・脅威を整理する環境分析手法。STP分析の前段階として実施するのが一般的(UTokyo IPC)
- SWOT分析で得た「強みを活かせる市場」という示唆が、STP分析のターゲット選定に直接つながる
この連携を意識することで、フレームワークを単なる「やった感」で終わらせず、実際の成果につなげられる。日本のマーケティング担当者にとって、STP分析と他のフレームワークを正しい順番で組み合わせることは、戦略の精度を高める近道と言える。
STP分析をいつ行うべき?タイミングと活用事例
新規事業立ち上げ時
- 市場の全体像を把握し、どこに自社の強みが活きるかを見極めるのに最適。UTokyo IPCはスタートアップや新規事業にとって有効なフレームワークだと紹介している(UTokyo IPC)
既存製品のリニューアル時
- リコーの事例解説では、パナソニックのノートPC「レッツノート」がモバイルワークを行うビジネスパーソンをターゲットに、堅牢性・軽さ・バッテリー持続時間に特化したポジショニングで成功したと分析されている(リコー)
競合が増えた時
- 東芝テックの記事では、大手ファーストフードチェーンが「低価格帯で品質にはさほどこだわらず、提供スピードの速さを求める層」をターゲットに、「安くて気軽にすぐ食べられる」ポジショニングを打ち出し、公式アプリで6600万ダウンロード(2020年時点)を達成した事例が紹介されている(東芝テック)
- 同じく東芝テックは、大手コーヒーチェーンが「大都市で経済的な余裕のあるオフィスワーカー」をターゲットに「セルフスタイルで高価格帯の美味しいコーヒーをおしゃれな空間で提供する」というポジショニングでブランディングに成功した事例も挙げている(東芝テック)
SATORIのマーケティングブログでは、MAツールのターゲット選定にSTP分析を応用し、企業規模・業種・デジタル活用度でセグメントを分け、「マーケティング専任者がいる中堅企業」を優先ターゲットに設定した事例が紹介されている(SATORI(マーケティングオートメーションツール))。B2Bでも効果的に使えることがわかる。
これらの事例から浮かび上がるのは、STP分析は「いつやるか」よりも「どのタイミングでどのフレームワークと組み合わせるか」が重要だという点だ。競合が増えたタイミングでポジショニングを見直す、新規事業で3C分析の後にSTP分析を実施する、といった順序と連携が成果を左右する。
確認された事実と不明な点
確認された事実
- STP分析はセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3要素で構成される(Salesforce Japan)
- STP分析の基本順序はS→T→Pが定石(アスマーク)
- STP分析の後には4P(マーケティングミックス)が続く(BowNow)
不明な点
- コトラーが最初にSTPを発表した正確な年は特定されていない
- 全ての企業にとってSTP分析が常に有効かどうかは、業種や規模によって異なる可能性がある
「STP分析は環境分析のあとに戦略策定の枠組みとして用いられ、その後に製品・価格・流通・販売促進の4要素からなるマーケティングミックス(4P)が続く一連のプロセスとして位置づけられています。」
— BowNow マーケティングメディア
「自社にとってもっとも価値の高い顧客層のニーズを理解し、適切なメッセージとチャネルでアプローチすること。それこそがSTP分析の目的です。」
— Salesforce Japan 公式ブログ
STP分析は、決して難しい理論ではない。しかし、フレームワークだけをなぞっても、市場の実態とズレた戦略になってしまうリスクがある。大切なのは、3C分析やSWOT分析で得たインサイトを基に、セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの順で考え、最後に4Pに落とし込む一連の流れを意識することだ。日本のマーケティング担当者にとって、STP分析を正しい順序で他のフレームワークと連携して活用するかどうかが、戦略の成否を分けると言っても過言ではない。
よくある質問
STP分析の読み方は?
「エスティーピーぶんせき」と読みます。Segmentation, Targeting, Positioningの頭文字を取った名称です。
STP分析のテンプレートはどこでダウンロードできる?
BizBoostのブログなどで、Praxie提供のテンプレートが紹介されています。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3ブロックを一枚のシート上に配置した構造で、初心者でも使いやすいとされています(BizBoost ブログ)。
STP分析とマーケティングミックスの関係は?
STP分析でターゲットとポジショニングを決めた後、その戦略を具体化するのがマーケティングミックス(4P)です。STP分析が「何を・誰に・どう伝えるか」を決めるのに対し、4Pは「具体的にどう実行するか」を決める段階です。
STP分析の注意点は?
ACCEL Japanのコラムでは、以下の6項目が挙げられています:分析の順番にこだわりすぎない、顧客目線を失わない、市場規模と成長性を確認する、実現可能性を考慮する、分析だけで終わらせず施策につなげる、他のフレームワークも併用する(ACCEL Japan)。
STP分析を小規模企業でも活用できる?
はい。小規模企業でも、簡易版のセグメンテーション(例:地域・年齢層・趣味)で十分に活用できます。UTokyo IPCのコラムでもスタートアップや新規事業にとって有効なフレームワークだと紹介されています(UTokyo IPC)。
STP分析とペルソナの違いは?
STP分析は市場全体をセグメントに分け、ターゲットを選定し、ポジショニングを決める戦略フレームワークです。ペルソナは、ターゲットセグメントの典型ユーザーを具体的な人物像として設定する手法で、STP分析のターゲティング後のプロセスとして活用されます。
STP分析の結果をどう活用する?
STP分析の結果は、マーケティングミックス(4P)の策定に直接使います。また、広告のターゲティング設定、コンテンツ戦略、ブランドメッセージの統一など、具体的な施策の基盤として活用できます。
